忙しい研究生活から離れ、ただ「流される」ことだけを目的に木津川へ向かった。 保津川のような激しさはない。ここにあるのは、穏やかで優しい、癒しの時間だ。 笠置キャンプ場からスタートし、下流へとゆっくり下るコースを選んだ。
水面で眠る贅沢
木津川の流れは緩やかで、パドルを漕ぐ必要すらない区間も多い。 パックラフトの上に寝転がり、空を見上げる。 雲がゆっくりと流れていく。風が木々を揺らす音。遠くで聞こえる電車の音さえも心地よいBGMになる。
水の上では、重力から少しだけ解放されたような感覚になる。 浮力に身を任せていると、身体の緊張が解け、思考のノイズも消えていく。 これを私は「重力デトックス」と呼んでいる。
河原でのコーヒーブレイク
途中の砂州(中州)に上陸し、バーナーでお湯を沸かす。 川の真ん中で飲むコーヒーは、なぜこれほどまでに美味しいのだろうか。 何もない河原だが、そこには最高のカフェ空間が広がっている。
「何もしない」をする。 現代社会では難しいその行為が、ここでは自然とできてしまう。 ただ川の流れを見つめ、コーヒーの香りを楽しむ。それだけで十分なのだ。
自由であるということ
パックラフトの魅力は、その自由さにある。 好きな場所で川に入り、好きな場所で上がり、電車で帰る。 大きなカヌーやカヤックでは難しいこの機動力が、旅の可能性を広げてくれる。
夕暮れ時、ゴール地点に到着し、パックラフトを畳む。 心も体も軽くなっていた。 明日からの研究も、また新鮮な気持ちで向き合えそうだ。